蓬田さんが育てる果物は甘さが格別。例えばさくらんぼは糖度23～24度、コクのある甘みはのど越しに余韻を残すほどで、爽やかな酸味がその味わいを際立たせます。桃は12〜13度で特秀とされる中、15度以上になるように育てていると言います。美味しく育てるのに大事なのは、栄養と、太陽と、こまめに手をかけること。昼夜の寒暖差の大きいこの土地は果樹園にとって恵まれた環境です。水やりには清冽な地下水を使い、どの果物も手間を惜しまずに育てられます。「手入れは大変だけど収穫は楽しい。食べた人に美味しいって言ってもらえるのが、やっぱり嬉しいね」と言う蓬田さん。ベテランになった今でも、良いと言われる肥料や新しい品種を実際に試し、味や実りを見極めながら、常により良い果物づくりを追求し続けておられます。

「長年のお客さんがうちの桃を『おいしいではなく、幸せじゃー』と言ってくれたのがうれしかった」と言うのは、農園主 相原泰之さん。桃の季節になると、広大な桃畑には濃い紅に色づいた桃がたわわに実り、ほのかに甘い香りを漂わせます。相原さんの桃畑は、木の丈を低くして、下に行くほど横に広がるよう枝を整えているのが特徴的。よく実をつける枝に太陽を当て、作業の目を行き届かせることが目的だと言います。桃は「50枚の葉っぱに1つの実」が目安と言われる贅沢な果実。春先の花が咲く前から摘蕾（てきらい）をはじめ、実のなり始めにさらに摘果をして、一つ一つの実を大きく甘く育てていきます。収穫前、夏の太陽で一気に甘みと赤みを増す桃の実。「一年の苦労が報われる幸せな眺めです」