■お取引開始の時期 2011年から
■最初のお取引は2011年でした。福興産業のどのような点を評価していただいたのでしょうか。
齊藤様:従来、医療性廃棄物は全てプラスチック容器で処理していたのですが、福興産業から、鋭利物と鋭利物以外に分別し、段ボール容器を使うことで経費を削減する提案をもらいました。実は当時、北海道にはそのような排出をしている病院はなかった。私自身は情報を持っていましたが、地元で提案してくれた企業は初めてでした。すぐには取引が実現しなかったけれど、そういうアイデアをくれる企業こそ関係を保つべきだと考えて、まずは古紙の処分から依頼することにしたわけです。病院の指示で廃棄物の処理をするのではなく、プロとして自らコスト面や適正処理について対応する「受け身ではない姿勢」がポイントでした。
■当社が道内処理の体制を整備する面でも様々なアドバイスをいただきました。
齊藤様:感染性廃棄物の輸送ルートや処理場でのリスクをいかに下げるか、いかにリサイクル率を高め環境負荷を低減するかなど、様々な要望を伝えました。やがて福興産業側の条件が揃い、感染性廃棄物処理の取引を始めたところ、大幅なコストダウンが実現しました。渓仁会グループ内でも、定山渓病院がなぜそれほどコストダウンできたのかと注目されました。
加えて、福興産業なら感染性廃棄物だけではなく廃棄物全般をワンストップで収集処分を依頼できます。以前は感染性廃棄物と産業廃棄物と古紙と…と、種類ごとに取引業者を分けざるを得ませんでした。その分、契約や許可証の有効期限の確認、期限が迫れば契約更新の手配など、管理だけで非常に煩雑でした。福興産業と取引してから、その負担がかなり軽くなりました。
昨年は私も処理場に足を運んで、福興産業の処理の信頼性も確認しています。廃棄物処理の責任は排出側にありますから、当然その点も妥協はしません。
■齋藤次長はかなり専門的な知識をお持ちで、学会等でも座長をされてきたほどです。
齊藤様:「感染リスクや作業負担をいかに少なくするか」ということを常に考えてきました。一例ですが、当グループで使っている感染性廃棄物の赤い専用容器は、15年以上前に私が発案してオリジナルで製作してもらったものです。一目で分別容器を見分け、排出ミスを無くすために考案しました。また、感染予防を現場に徹底するためにICTの一員として定期的にラウンドしていますし、年2回の安全研修会で感染性廃棄物については講師をしています。
今は定山渓病院の特別管理廃棄物の管理責任者ですが、実は、現場の担当が管理責任者になることを医師会は推奨しているものの、法的な責任を伴うために医師が管理責任者になることが多い現状です。
■今後当社に期待することがあれば、ぜひお聞かせください。
齊藤様:福興産業には、専門知識も、提案力もあると感じています。受け身ではなく、「当院にとってより良い方法」を一緒に考えてくれるので、パートナーとして様々な相談をさせてもらっています。
感染性廃棄物は分別をした方が安全なのは確かです。廃棄物を捨てるのは一瞬ですが、だからこそ、危険なものを「危険だ」としっかり意識することが安全への第一歩なのです。今後は、福興産業が持っているノウハウを、他のグループ病院にも展開していってくれることを期待しています。
ありがとうございました。(取材者/福興産業 玉村)